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心が動いたとき68

「おべんとう」

中学のときの話である。
私がトイレに行くとクラスで人気者のAちゃんがいた。手にはお弁当箱を持っている。「洗ってんの?」と私が聞くと、「んなわけないやろー」とAちゃんは笑った。どうやらお弁当の中身を捨ててきたらしい。


Aちゃんは親と離れて暮らしをしている。Aちゃんの家は私の家のお向かえさんで、少し大きいお屋敷のような家に住んでいた。そこで一人暮らしをしていたおばあちゃんと、去年から同居しているのである。たまに門が開いているときはいつもそのおばあちゃんが庭にいて、私が挨拶をするとにこっと笑い「いい天気ですねぇ」と答えてくれた。

お弁当はそのおばあちゃんが作っているものだそうだ。それをAちゃんは捨てていた。しかも今日だけでなく、毎日である。「もったいないだろ」と私がいうと「嫌いなもんばっかなんやもん。残すのも可哀想やし」と言って教室に戻り、友達とコンビニの菓子パンを食べていた。毎日、まいにち。

ある日、お昼休みに担任の先生に連れられてAちゃんのおばあちゃんが教室に来た。
「孫が忘れて行った箸を届けにきた」そうだ。最初はおばあちゃんに気が付かず、友達と笑いながら菓子パンを食べていたAちゃんもおばあちゃんに気が付くと、先程の
笑顔とは裏腹にみるみるうちに
青ざめていった。
するとおばあちゃんはなにも言わずに
担任の先生に箸を渡して帰っていった。
Aちゃんは授業中、ずっと俯いたまま
授業は全く聞いている様子はなく
ただただ考え事をしているようだった。

放課後、いつもなら友達と話ながら
帰っていくAちゃんは今日は
一人寂しく歩いていた。
私はそんなAちゃんが心配になり、
家まで一緒に付いていくことにした。
着いてからというものAちゃんは
ずっと黙ったまま。
額にはうっすら冷や汗をかいていた。

夕飯時になり、私は帰ろうと立ち上がった
その時だった。おばあちゃんが、
「Aちゃん、晩ごはん食べないの?置いておいたからね。わたしちょっと買い物に行ってきます」と声をかけにきた。
Aちゃんはドキッとした表情を見せたが、
決心したように台所に行った。
すると、ガタンと何がが落ちるような
音が聞こえ、台所に向かった。

そこには、床に泣き崩れるAちゃん。
その隣に「晩ごはん」と書かれた伏せんの貼ってあるビニール袋が落ちていた。

袋からはパンと飲み物がでてきた。

Aちゃんがお昼に食べていた菓子パンとジュースだった。


買い出しから帰ったおばあちゃんに
泣き腫らした目を擦りながらAちゃんはひたすら謝った後、小さく「あんがとね」と言った。その隣で「だいじょうぶだぁよ」と嬉しそうに笑うおばあちゃんの顔を、私は今でも忘られない。


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